営農指導員一人一研究成績発表会 矢沢指導員が最優秀賞

2025.03.06

 JA信州諏訪営農部は2月21日、富士見町のJA会館ふじみで一人一研究成績発表会を開きました。営農指導員9人が、担当品目の品質・収量向上などに向けて研究した1年間の成果を発表。農業振興センターの矢沢光洋指導員が最優秀賞、伊藤侑哉指導員と佐藤勲知指導員が優秀賞を受賞しました。

 

 発表会は、営農指導のレベルや質を高め、諏訪地域の農業振興に寄与することを目的に実施しています。役職員が「試験内容の有効性」「地域への普及性・実用性」「表現力」などの観点で審査しました。一定の成果が得られた内容は、生産部会を通じて生産者に周知し、農業所得の増大に繋げています。

 

 生産者の協力でほ場で試験し、表やグラフを用いて経過や結果を見やすくまとめ、考察や今後の展望を1人15分で発表しました。

 

 最優秀賞の矢沢指導員は、アルストロメリア夏秋作型の生産振興に向けて発表しました。アルストロメリアは以前までは冬季から春にかけての出荷が主でしたが、現在は年間通じて需要がある品目です。矢沢指導員は「今後は需要に合わせて夏秋期の出荷も積極的に行っていくべき」と提案。(1)簡易施設による経費削減試験、(2)「台刈り」の導入試験を実施しました。

 

 (1)の試験では2023年11月下旬、同年生産の株に、地上部の茎葉を刈り取って整理する「台刈り」をした後、同12月上旬に5試験区を設置し、越冬試験を行いました。試験区は、被覆資材Aを1枚被覆した区、同A2枚被覆区、同B1枚被覆区、A・Bともに1枚被覆区、無被覆区の5つ。春先までの経過を目視し、24年生産状況から判断しました。結果は全区で株の越冬が確認できました。収穫量も前年とほぼ同一でした。「冬場の降水量が少なく、無被覆区でも凍結による株落ちが見られなかった。現在の気象状況では当産地でも越冬性があると判断できる。品種間格差の精査は今後検討していく」と考察しました。

 

(2)の試験では6月の出荷最盛期での作業労力分散を図るため、「台刈り」を導入しました。対象区は24年3月下旬にかん水・ハウス内温度管理を開始。4月下旬頃から茎葉管理を継続しました。一方、試験区は24年5月中旬に台刈りし、対象区と比べて軽微な茎葉管理を行いました。「今回はある程度茎葉が成長した段階で台刈りを実施し、出荷時期と作業労力の分散を図れた。しかし、対象区と比べて1株あたり概ね20本程度収量が少なかったので、収量に重きを置く場合は実施時期を見直す必要がある。品種間格差もあるので、作業の必要性の有無は調査を続ける」と考察しました。

 

 審査講評として、小林昇経済事業本部常務理事は「一研究発表は、農家への営農指導のプレゼン力向上に向けて必要な取組み。今日は興味深い内容がたくさんあった。今後も研究を継続し、自分の思いや考えを人に伝える方法を考え続けてほしい」と期待を寄せました。

 

 一人一研究成績発表会で入賞した職員(中3人)とJA役職員