市川薫さん・智美さん夫婦が新規就農しました

2024.06.29

 市川薫さん(39)智美さん(41)夫婦が2024年度、茅野市で新規就農の夢を叶えました。本年は、露地とハウス3棟計25アールできく14品種を栽培し、年間8万4千本の出荷をめざします。「将来は、歴史ある信州諏訪のきくを守る生産者の一員になりたい」との思いを胸に、7月下旬の初出荷に向け、夫婦2人3脚で日々の作業に励んでいます。

 

 市川さんは2021年8月に旅行で茅野市を訪れた時、八ヶ岳が間近に広がる景観に一目惚れ。長女・長男を連れて家族4人で22年3月に東京から移住しました。農業経験はありませんでしたが「夫婦一緒にできる仕事がしたい」と農家になることを決意。同じく県外から移住し、きく農家として就農した夫婦のほ場を見学しアドバイスを受けたことから、品目はきくを選びました。

 

 原村の里親農家で2年間研修し、栽培管理方法を一から学びました。里親農家の「育苗時から苗をよく観察し、異変があればすぐに対応すること」という言葉を常に心に留め、「暑さや長雨等できくがダメージを受けた時のさまざまな対応方法を学ばせてもらい、大変勉強になった(薫さん)」と振り返ります。

   

 地域の生産者から農業機械や花の自動結束機を譲り受け、JAの補助事業や国と県による助成資金制度を活用して栽培環境を整え、3月1日に独立。ハウスでは「岩の白扇」、露地では「紅久」や諏訪オリジナル品種の「諏訪クイーン」「天空の輝」などを栽培します。

 

 ハウスでは電照栽培を行い、天候に左右されにくい環境で開花をコントロールし、高需要期での出荷を狙います。露地では生産コストを抑えながら高品質栽培をめざし、更なる収益確保につなげたい考えです。

 

 5月10日の降霜で、すでに定植されていた苗の一部が影響を受けましたが、その他は順調に生育しています。現在は8月出荷分の芽整理や9月出荷分の摘芯の作業に精力的に取り組んでおり、5月末日からはハウスでの定植作業も始めました。また、今後の栽培規模拡大を見据え、今年中にハウス5棟を増設する計画です。

 

 薫さんは「農業は自然相手の仕事だと分かってはいたつもりだったが、独立してから天候の影響に左右される厳しさをあらためて実感した。まずは初出荷を無事に迎えられるよう頑張りたい。ゆくゆくは、お世話になっている地域の方に恩返しし、信州諏訪のきくブランドを守る一員になりたい」と思いを語ります。

 

 智美さんは「大事に育てた苗を見ていると、とても愛おしく感じる。1本でも多く品質の良いきくに育て上げられるよう日々丁寧に管理していきたい」と話していました。

 2024年度、新規就農の夢を叶えた市川さん夫婦