茅野市湖東笹原土地改良区が「御射鹿池」維持・管理 

2024.07.01

 茅野市湖東笹原土地改良区は、同市の農業用ため池「御射鹿池」を管理しています。同池は笹原地区の高品質なコメ作りに大きく貢献。“人の心を魅了する絶景”とされ、絵画のモチーフやCM、映画等でも起用され県内外から観光客が訪れるなど全国的な知名度も上昇しています。同区や地域住民は先人から受け継いだ財産として大切に守り続けています。

 

 笹原地区は標高1150メートルの高冷地にあります。八ヶ岳連峰からの水を利用して1645年に「笹原新田」を開発し、稲作に取組んできました。冷害からコメを守るため1933年、農業用水の加温施設として「御射鹿池」を築造。1956年、同池より標高200メートル下に「笹原ため池」を築造。この2つの加温施設が、現在まで同地区の水稲栽培を支えています。

 

 「御射鹿池」は面積約0.1ヘクタール、最大水深8メートル、貯水量2万6000トン。八ヶ岳連峰の冷たい水を留めて太陽光で温め、「笹原新田」に至るまでの湧水からの加水により稲作に適した農業用水として使用します。強酸性水のため魚や微生物、水草、藻は生息できないが水面はとても澄んでおり、湖面に木々がきれいに映ります。

 

 同区は「御射鹿池」の水を日々管理します。2024年度は、同区メンバーと地域住民ら40人ほどで7~9月計3回、同池の土手や周辺の草刈りを行う計画。また、冬場も水路が傷まないよう定期的に整備します。

 

 同区の両角幸彦理事長によると「笹原地区では御射鹿池の水を利用して、昨年も品質の良いコメがたくさん収穫できた」といいます。

 

 両角理事長は「御射鹿池は私たちにとってとても大切な存在で、財産。温暖化の影響で高冷地のコメへの期待は年々高まっていくと思う。これからも維持管理して安定的に水田に水を供給できるシステムを守り、後世に繋いでいきたい」と話しています。

 笹原土地改良区が維持・管理する「御射鹿池」。湖面にカラマツの木が映ります。(長野県茅野市で)

写真=「御射鹿池」からふもとの笹原地区へ水が流れるようす。土手は茅野市湖東笹原土地改良区が整備しています(長野県茅野市で)